財津和夫コンサートツアー 〜あの日見た虹の上で〜

2001. 2.15 富山オーバードホール

曲名 曲名
 1. そんな時 12. サボテンの花
 2. 遅れる時計 13. ふたりだから
 3. 逆回転 14. どこまでも追いかけて
 4. 君もいつかはシルバーシート 15. GOAL
 5. My Dear 16. この世の端でも
 6. 虹色の心〜あるいは母の掌〜 17. あの日見た虹
 7. 止まった時計
 8. 青春の季節 (アンコール)
 9. 遠い約束 E1 二人だけの夜
(伊豆ちゃんの小部屋) E2 夢中さ君に
All By Myself E3 ぼくがつくった愛のうた
10. ストーブ
11. 青春の影

夏のある日飛び込んできた一通のメール。「あなたにとってのビッグニュースだよ」
それがこのツアー参加の“第一報”だった。ZZCから発表されてる日程はツアー前半だけでそこにはまだ“富山”の文字はなく、でも「もしかしたら後半に出てくるかもしれない、また地元で上田さんが見られるかもしれない」そんな思いに胸を膨らませたあの日。
後半の日程に富山の文字をみつけ思いがかなったとワクワクしながら待ちわびていた日々・・・それが「2/17系図狩」この日程が発表された時にみごとに冷めてしまっていた。せっかくのバレンタイン翌日の富山なのに私が好きな上田さんは間違いなく系図狩の方でそんなの分かりきってて選択できないもどかしさ、「なぜにこの日?」これがきっとずっと先の日程ならばこんなに落ち込む事はなかったんだと自分でも分かってる。でも行けないのは誰のせいでもない自分の事情のせいでしかないわけで「私の場合地元で見れるだけでも“幸せ”と思わなきゃいけないんだろう・・・この日が無かったら0かも知れないのだから・・・0よりは1がいいに決まってる」こんな葛藤があったのです。一生懸命気持ちを持ちなおそうとしてみるけれど私が行くのは“上田さんはいるけれど上田さんのライブじゃない”んだよ・・・・いっそのこと財津さんだけのコンサートだったらよかったのに・・・複雑な思いを引きずりながら向かえたこの日。
こんな思いは財津さんにとっても失礼な話。ちゃんと財津さんのコンサートとして聴いてこなくっちゃ・・・・


今日の座席の番号はXA列24番。座席を見たとたん悪い予感がしたのだけど実際行ってみるとかろうじて上田さんは見えそうでほっと一息。ただステージ全体のセッティングは奥の方でステージへの距離はないのにメンバーとの距離がある・・・さすが大きな会場、最前列というのにライブハウスの後ろの方隅で見ていた時よりも上田さんが遠い・・・・周りを見渡せばTULIPのツアーで知り合った財津さんファンの方ばかり「どうせここみんな並びだから代わってあげるよ」と上田さんの真正面の座席へ・・・なーんにも遮るものがない。

メンバー登場。上田さんはブルー系のシャツ。“初めて見る”そんな衣裳が新鮮。
静かにしっとりと始まった♪そんな時♪TULIPで一番好きなアルバム“TAKE OFF”から。このOpeningが今日のコンサートのスタンスをしっかりと代表しているような・・・こんなに静かに始まるコンサートなんてもしかしたら初めてかもしれない。この後続くTULIPの曲。“THE LOVE MAP SHOP”から♪遅れる時計♪。上田さんが脱退してからの曲で薫さんがDrumだった。中野サンプラザで聞いたあの時のイメージのまま♪日曜の風景画♪と共にお気に入りの曲だったっけ。♪逆回転♪は“Upside Down”から。ドラムからの曲続き・・・気分的にはこんなつなぎの後は♪心の糸♪へいくようなイメージがあるのだけど上田さんらしい音、リズム雰囲気がなんともTULIPしてる感じ、コーラスの声も耳に残っているものと同じ事が嬉しくもありそんな中に最近聴きなれた伊豆田さんの声が姫野さんの代わりに加わって聞える事がなんだか不思議。ここのところどうも財津さんがソロで歌うTULIPの曲というのが生理的に受け入れられなかったはずなのにゼンゼン違和感なく入ってくる・・・
最初の財津さんのMC「TULIPというバンドを細々とやっておりましたが解散しましてソロになりまして極細になりまして・・・」このセリフにやたらうけてしまった私だったりして・・・
次は“ONE WORD”から。このアルバムは前半がバンドっぽくて懐かしい音で財津さんのアルバムの中では好きな方だったのだけどその中から♪君もいつかはシルバーシート♪唯一上田さんのメインVocalが聞けるという曲。某掲示板で「上田さんにこんな歌詞のところ歌わせるなんてひどいと思いません??」なんて話しを振られて思わず歌詞を確かめてしまった私だったりして・・・う〜〜ん確かに上田さんに♪ねぇ、おいでよ年寄りの世界へ♪と誘われてもちっとも嬉しくないけど・・・Vocalの入りが前のフレーズとかぶるからそっか、だから上田さんなんだと変なところで納得しながら聞いてる私。今日のマイクのセッティングの関係でマイクに向かうと横顔が見える・・・いつもと違った角度で日本語で歌っている上田さんがなんだか新鮮。TULIPでも歌ってるはずなのにな。なんだか一語一語丁寧に歌ってる感じに聞える。歌いながらのドラムのリズムもよりポップな感じで“上田さんのための”見せ場。このままずっと上田さんの声を聴いていたいのに・・・アルバムの曲続きと同じまま♪My Dear♪この曲を聴くと娘のセリフを思い出してしまう。「これはあー(娘の愛称)の歌だよね・・・」たぶん財津さんも娘さんを思いながらの詞なんだと思うけど彼女にはまるで自分に語り掛けられてるように聞えたらしく歌詞の一言一言にツッコミを入れながらこの曲を聞いていた。曲は明るい感じなのになぜか上田さんの笑顔が少ないそんな風に感じてしまうのよ・・・
続いてはNEW アルバム“3日坊主”でもなく“ものぐさ坊主”でもない「レイン坊主」・・・じゃなく「Rainbows」から・・・後半の曲から急にドラムの打ち込みが上田さんっぽく聞えていたアルバムだけに生で聞くのが楽しみだった訳で・・・
選曲は期待通り・・・聴いてみたいと思っていた“あ、上田さんだ!”と感じるフレーズの多かった曲が並ぶ。普段のロックンロールみたいな派手さはないけどドラムがとてもメロディアスに聞える。フロアタムの“どん”とくる低い音が気持ちいい。叩いてる上田さんはノリというよりもきっちり音を奏でる雰囲気(う〜〜ん、うまく表現できないのだけど)

ちょうどタイムリーなオリンピックの話題から「世の中にはホントにすごい人がいるものです」・・・・ということでGAR-YIZではすっかりおなじみの“伊豆ちゃんの小部屋”上田さんが「財津さんのコンサートでもやってるんだよ!」って言ってたもんね。
ベースの位置からキーボードへ移る伊豆田さん。ステージからメンバーどころか財津さんまでもが去りなんだかGAR-YIZのライブへ来てるかのような感じがしてしまうわけで・・・曲は私にはすっかりおなじみ♪All By Myself♪あえて言うならばGAR-YIZで聴いてた時の方が迫力あった気が・・・ホールに響く伊豆田さんの声は決して悪くはないのだけどなんだか軽く流してるふうに聞えてしまう。「ほんとはもっといいのに!もったいない!」そんな気がした。今日も財津さんスタッフの女性をまわして踊ってるのかなぁ・・・ふとそんな事が頭を過ぎってしまったり・・・これは今日初めて伊豆田さんの歌声を聞いた人に感想を聞いてみたかったな。

再びメンバーそろって後半戦。♪ストーブ♪アコースティックということもあってかドラムは途中からというアレンジが多くて曲の最初はライトも当たらないステージでじーっとしている上田さんの姿を見ている時間がなんだか長く感じられて不思議な気分。財津さんのしっとりとした歌声がすごく切なく響いて来て目の前の上田さんはまるでスクリーンに映ってる写真のように見えてしまう。前半は思ったよりもちゃんと自分で楽しんでいたはずなのに実はこのあたりからおかしくなる・・・きっかけが♪青春の影♪一里野で財津バージョンのは聴いていて分かっているはずなのに何かが切れてしまった・・・「違う!」そう思った瞬間、気持ちがこわばってしまった。私が聞きたいのはこれじゃないよ・・・後はもう涙をこらえるのに大変・・・自分でもよく分からないのよね・・・上田さんみても笑顔になれない・・・泣きたい!。
♪サボテンの花♪数フレーズ歌ってからのいつものイントロ。バスドラではいるはずがタンバリンのチャリチャリになってやっぱりこれもちがう・・・・上田さんのドラムなのに上田さんじゃないそんな気分。
この後曲は“Private Moon”から。このアルバムはあんまり好きじゃなかったけどライブで聴いてちょっとイメージが変わった・・・これもバンドで聞いたからこそなのかもしれないのだけど・・・上田さんのドラムはやっぱり気持ちよくってどこかにTULIPの雰囲気を出してくれてる・・・ちょっとハードになると上田さんの表情もようやく笑顔が増えてきた感じ・・・ではあるのだけど今日はそんな笑顔を見ても笑えない私がいてひたすら身動きもせず一点を見ていたわけで・・・いつもの“キャラ”じゃないよなぁと思いつつ・・・♪GOAL♪のブレイクでクルクルとスティックをまわす上田さん。スティックがまわると思わずきゃぁ!なんだけど今日は冷静「あーー財津さんのコンサートでもやってるんだぁ」ちょっとだけ笑う気になれたのが救いだったかな・・・
♪この世の端でも♪この曲のエンディングあたりだったろうか今日の曲の中ではハード目なドラムではあったけどそんなきつい感じでもないのにまるで何かを叫ぶように大きく口を開けて叩いていた姿が目に焼き付いてはなれない・・・なんだか苦しげな顔に見えてしまって。どんなハードな曲だってあんな表情を見た記憶がないのだけど・・・たまたまなのかいつもなのかわからないけど私の中では「アレハイッタイナンダッタンダ」・・・・そんな感じ。
本編エンディング、このツアータイトルの“本題”♪あの日見た虹♪イントロのたたみかけるようなドラムの音はなんだかものすごいハードな曲へ行くような・・・実は頭の中ではそのまま♪Highway Star♪(by Deep Purple)が流れて来てたんだけど・・・(そうだったらいいのになという願望もあるかしら?)そんなはずもなくゆったりと“ワルツ”風。エンディングはすごくドラムが引立ってて座っていた財津さんが後ろを振り向いて上田さんにスポットをあてるように盛り立ててくれてるみたいな感じで今日一番の笑顔!・・・ずっとこんなだったらよかったのになぁ・・・そう思って見ていたのはすっかりひねくれていた私。(^^;
最後はメンバー紹介を交えながらステージを去っていく・・・「そして・・・上田雅利」財津さんのメンバー紹介のトーンがなんだか上田さんの時だけ低くなった気がしないでもないけどメンバーのトリで去っていく上田さん。歓声は一段と大きくなっていたように聞えたのは“贔屓目(耳?)”かなぁ・・・

そしてアンコール。なにをやるかは知っていたんだけど私的には♪二人だけの夜♪はスタンディングできる曲じゃない訳で・・・あの時代TULIPでこの曲をやるのが嫌でLIVEアルバムに収録されてるその音は自分の中でずっと“封印”してた曲なわけで・・・“財津さんでも叩けるドラム”を忠実にステージで叩く上田さんというのが嫌だったというのがその理由のひとつでもあり・・・(変な奴!)
セッティングをしながら財津さんは「ああ・・」etcマイクテスト!?&発声練習!?あげくに♪白エビ〜〜・・・ズワイガニ〜・・・♪「OK!」そんな振りに笑いながらカウント入れる上田さん。やり直すかなと一瞬思ったけどそのまま強引に!?曲へ。どっかで「立つもんか!」って思ってたんだけど・・・・いざ始まると両サイドは勢いよくスタンディング・・・こんなところでつまんない意地はってても楽しくないよなぁ!最後くらい楽しんで帰らないと損だよなぁ。そんなわけで「え〜い、付き合っちゃえ!!」と合わせてスタンディング。・・・みんながスタンディングした時に上田さんがすごく嬉しそうだったのが見えちゃったんだよね・・・頭の中でやっぱりライブはこうじゃなきゃと思ってる自分。最後の最後にやっと楽しんでるかも・・・この曲のエンディングのドラムはちゃんと上田さんの音だった・・・「あれ?昔もこんなだったっけ?」・・・なんだか嬉しかった。20年以上かかってあの時の“封印”が解けた瞬間・・・
そしてそのまま♪夢中さ君に♪♪ヤ〜〜ンヤヤ〜ン♪のコーラスも元祖!上田さんの声〜あーちゃんと歌ってる。これはもう無条件!おもいっきりドラムを叩く上田さんだけど今回の小さなドラムセットがきゃしゃに見えて「ソンナにひっぱたいちゃ可哀相・・・」と思ってしまった自分がおかしかったけど・・・
そうそう、定番の“財津さんコール”ちゃんと最初は“財津さん!”だったのだけどお隣さんが「伊豆田さん!」と叫んでるの聴いて思わず顔を見合わせて「いいの???」・・・「いいのよ!」「んじゃ、次はやっちゃう!!」前回のTULIPの時は2回目のコールのタイミングさえ忘れてドラムに聞き入ってた私だけど今日は逃すもんか〜今だ!「上田さん!!」遠慮なくおもいっきりいかせていただきました。上田さん、届きましたか!?

オーラスはバックメンバーが去り財津さん一人。♪ぼくがつくった愛のうた♪ずーっと上田さんを見ていたせいか財津さんだけだというのになんか財津さんを見るというのが照れる・・・んで誰もいなくなったドラムセットを眺めていたり・・・財津さんの♪ぼくが〜〜♪は情感こめてしっとりと・・・姫野さんとは対照的。きっと姫野さんがこんな歌い方をしたらひいてしまうに違いないなぁ・・・ふと友人との会話を思い出してしまった。そういう意味で“別の曲”どっちが好きかと聴かれればやっぱ“オリジナル”になってしまうけどこれはこれで素直に聞けました。


某知人がこのコンサートを「上田雅利 芸能生活30周年記念特別公演〜男人生太鼓一代記  あの日(サングラスから)見た虹の上で〜」行ってきたよ!として“アコースティック・セットを無視して叩きまくってたのはさすが!前回のツアーと違って頼もしかったですよ。ちょっと自己主張しているようにも思えて笑えましたけど。”ってメールくれて大笑いしたんだけど確かに“アコースティック”としてるわりにドラムは派手・・・というか遠慮が無いというかものすごい自己主張だなというのは私も感じた・・・だってそれが上田さんのドラムだもん・・・そうとも思うけど・・・

極端な“上田ファン”ゆえかかなり偏った気持ちで聞いていたライブだった訳で・・・あえて上田さんから離れて語るとすれば今までみた中途半端にTULIPテイストを入れてた2回のソロライブよりもだんぜん今回がよかったと思う。“等身大の財津さん”・・・ちまたではいろいろ“論議”もあるみたいだけど私的には◎。ずっと財津さんのソロを見てきた訳じゃないから偉そうには言えないけど今までどうも財津さんの発言が“後ろ向き”に聞えてて素直に聞けなかったけど今回の“等身大”というのが“前向き”に感じてやっと“財津和夫≠TULIP”になったなというか、すごく納得できた気がします。上田さん以外のドラムだったら逆に最初からもっと素直に純粋に財津さんの音として聴けたかもしれないなぁという反省と上田さんのドラムだったからこそのこの音なのかもしれないと思う部分があったりして今もってフクザツな部分はあるけど・・・・財津さんのソロの曲なのに「あ、これはあの時代のTULIPの曲と並べても違和感ないよな」と感じる部分も多かったのは上田さんのドラムのせいなのかもしれないし・・・そういう意味でも同じリストで違うドラマーバージョンというのを聞いてみたい・・・と思ったりする。そんなの無理だけど・・・・

“上田ファン側”から見ると(というよりは私の中の上田さんの虚像を元にだな・・・)ビジネスライクに見えてしまう上田さんを見ていてもつまらない・・・・音的には何の文句も無いどころか「これだよね!」ではあるのだけど「もしかして仕事だってこと忘れてる!??」と思わせてくれるようなあのノリを知ってると自分が求めているものと違う事が悲しくなってくるというのも初めて気がついたわけで「上田さんさえいればなんでもOK」だと思っていたのがそうじゃなかった事に自分で驚いて戸惑ってしまった・・・そんな不思議なライブでした。
上田さん的には“1回休み”次の順番にもう一度サイコロを振り直そう・・・それまで双六が終わってなきゃいいな。