上田バンド・・・私が知っているのはまだバンド名も決まってない産声を上げたばかりの時だけ。
偶然というものは時にはどんな“一生懸命”よりも勝ってしまうこともあるのです。
ここだけはどこがレポ!??なページです。
私の大切な大切な、でもせつない思い出。・・・・・・ワッカルカナァ・・・ワッカンネェダロナァ・・・


ある冬の日おなじ職場の同期生が私に聞きました。
「おまえ、確か上田さんのファンだったよな?」
う〜ん確かに上田さんのファンだけど、かろうじてTULIPファンだということは知ってる人はいても学生時代以外の友人には「上田さんって誰?」とは言われても「上田さんのファンでしょ?」と聞かれたことなんて1度も無かったのに・・・何故“上田さん”なのだろう?そんな疑問符が頭の中に渦巻きながら「そうだけど・・・」と答えた私に聞こえてきた思いがけない次の言葉。
「俺の先輩さぁ、今、上田さんとバンドやってて今度旗揚げLIVEやるから来いって言われてるんだけど、行くか?」
一瞬耳を疑いました。あなたの言う“上田さん”って本当にあの私の大好きな“上田さん”!?思わず出た「上田さんってTULIPにいた上田さんだよ??」「だから上田さんだって」・・・
こんなことがあっていいんだろうか?

TONYが解散して以来上田さんが次に何をやるのかまたステージに立ってくれるのかそれさえもわからなくて「縁があればきっとどこかで見つかる」そんな気分でいた矢先の出来事でした。
・・・強く思えばどこかで“運”はついてくるのかもしれないとちょっと神様に感謝した瞬間。

LIVEは確か3月の初旬。いつだったかも定かじゃないけど、同期生と二人定時で会社を飛び出してでかけた渋谷Egg&man。今度はいったいどんなバンドなんだろう・・・・
メンバーにはなんとTONYの加瀬田さんもいる。同期生の先輩はベーシスト。彼がどうやらメインボーカルだったはず・・・もう一人のGuitarとKeyの人は全然知らない人だったし今も顔さえ覚えてない・・・バンド名もまだ決まってなくってぴあには“上田バンド”で掲載されていた・・・と思う。
上田さんの衣裳はTULIPの時にどこかで見たアロハシャツに白のパンツ。そして額にバンダナ。写真は残ってるけど聞いた事が無い曲が多かった気がする。・・・Zepの♪Whole Lotta Love♪だけ曲がわかったような記憶があるのだけど・・・本当にやりたいように楽しんでる風に見えた上田さん。「俺だって前に出たいから」とローテーションコーナーがあったりして。進行表の紙切れを見ながらスタンドマイクに立って“説明”されてたっけ。そして上田さんは加瀬田さんのGuitarを抱えて熱唱・・・でもGuitarはほとんど弾いてなかった・・ような・・・だって右手はマイク握りっぱなしだったような・・・(^^;ベースは加瀬田さん。そしてベースの渡辺さん(先輩)が上田さんに代ってドラム叩いてて・・・なんだかその時の様子だけ鮮明に覚えてる。

1Stageが終わって“先輩”は同期生のところに来てちょっとだけご挨拶してた時に同期生が「ほれ、上田さんも出て来てるよ、行ってくれば?」・・・・と言われても上田さんは私なんてご存じないしどーすればいいのと不安ながらほとんど勢いだけで駆け寄って「握手して下さい!」・・・・それが上田さんとの初握手・・・でもそれ以上何にも言葉が出ずにすごすごと同期生のところに戻り彼と先輩の会話を聞いていたっけ。そして、2部構成だったのだけどわたしは寮の門限でタイムリミット。2Stageが始まる前にそのまま同期生と帰路についたというなんとももったいない話。・・・言えなかったんだよね、「上田さんに紹介してもらうわけにはいきませんか?」って・・・・(^^;;;;;;


そして1ヶ月後もう一度チャンスがやってきた。今度は“ぴあ”で自分で見つけて「ねぇ、またやるよ」って同期生に教えたけど、ちょうど職場の御花見・・・「その後も都合が悪いからひとりでいきな!」とあっけなくふられてしまった。
その日は'83.4.9。実は当時付き合い始めたばかりの“彼氏”の初めて二人で迎える誕生日のはずがそんなことより上田さんのライブ。・・・・・御花見は途中で切り上げて彼氏にプレゼントだけ先に渡しておこうとアパートに寄って「ライブ行ってくるから・・・終わったらまた来るね」と・・・寮の門限を気にすると最後まで聞けないからと友人の住所で外泊届を出しておいて・・・そんなことばかり覚えてたりして。(^^;

結局この日がその後の14年間のブランクに突入する“最後”の生で見る上田さんだったのです。その時はそんなこと知る由もなく。・・・・ついでにBirthdayだった彼氏・・・今はわたしのダンナさまぁ・・・


身近に上田さんに近い知り合いがいる・・・何かある時は教えてもらえるとあてにしていたのだけどその同期生「おまえなぁ、いつまでもそんなことやってると道誤るぞ・・・彼氏がいるんだったらいい加減に辞めときな。何も言わなくても彼氏は嫌な思いしてるぞ、きっと・・・」と極めて非協力的に・・・「そんなんじゃない!」と言ってみたところでどうしようもなくしつこく聞けば返ってきた言葉が「電話番号わかってるんだから自分で電話して聞けよ!」だったしなぁ・・・・そんなことできるわけないジャン!しばらくは自力で見つけていたけど仕事などでなかなか都合がつかなかったり結婚話のどたばたでライブへ行くチャンスも逃して・・・そのうちバンド名が変わっちゃったらぴあを見てもわからなくなるなぁ・・・と思いつつ、そのまま凧の糸が切れてしまった・・・とうとう消息不明・・・・・

数年後インスタントラーメンのCMに上田さんの名前を見つけた時に1度友人を通じて例の同期生に消息を尋ねてみたけれど返ってきた言葉が「“子供までいてまだそんな事言ってるの?いい加減にしときなっていっとけ”だって!」・・・・だから、なんか違うんだってば!と言いたくてもわたしはとっくに退社しててわざわざ会社にそんな電話できるはずも無く・・・

今でも後悔してるんだよね。ここで易々と糸を切ってしまった事。・・・でも、もしかしたらこの時はこれでよかったのかもしれないとも思うこの頃。
今、自己満足でもこんなふうにしがみついているのは“同じことは繰り返さない”・・・この時のリベンジという気持ちが大きいのです。

10年以上も過ぎてまた巡り合えたんだから・・・運はなくても小さな“縁”はあるんだと思っていたい・・・